従業員が仕事中にケガをして会社を休んだ場合、会社は労災保険の手続きを行うだけでなく、「労働者死傷病報告」を労働基準監督署へ提出しなければならない場合があります。
一方で、
「どの程度のケガから提出が必要なのか」
「休業4日以上と4日未満では何が違うのか」
「労災保険の手続きをすれば死傷病報告は不要なのか」
など、実務では判断に迷うことも少なくありません。
本記事では、労働者死傷病報告について、提出が必要となるケースや提出期限、2025年から義務化された電子申請など、企業が押さえておきたいポイントを解説します。
1.労働者死傷病報告とは
労働者死傷病報告とは、労働者が労働災害などによって死亡または休業した場合に、事業者が所轄の労働基準監督署長に報告するものです。
労災事故が発生した場合には、
- 被災した労働者への対応
- 労災保険給付の請求手続き
- 労働者死傷病報告の提出が必要かどうかの確認
- 災害原因の調査
- 再発防止措置
などを並行して進める必要があります。
2.労働者死傷病報告が必要となるケース
労働者死傷病報告は、すべてのケガについて必要となるわけではありません。
基本的には、従業員が業務上の災害などによって死亡または休業した場合が対象です。
実務では、休業日数によって取扱いが異なります。
| 災害の程度 | 労働者死傷病報告 | 提出時期 |
|---|---|---|
| 死亡 | 必要 | 遅滞なく |
| 休業4日以上 | 必要 | 遅滞なく |
| 休業1~3日 | 必要 | 四半期ごと |
| 休業なし | 不要 | ― |
特に注意したいのが、休業1~3日の労災であっても報告が必要という点です。
「4日以上休んだ場合だけ提出すればよい」と誤解されることがありますが、休業4日未満についても報告義務があります。
3.休業4日以上の場合
従業員が死亡した場合または休業が4日以上となった場合には、労働者死傷病報告を遅滞なく提出する必要があります。
ここでいう「遅滞なく」とは、「○日以内」という具体的な日数が定められているわけではありません。
したがって、災害が発生して報告すべき内容を確認したら、必要以上に提出を先延ばしにせず、速やかに手続きを進める必要があります。
4.休業4日未満の場合
休業が1~3日の場合も、労働者死傷病報告が必要です。
ただし、休業4日以上の場合とは異なり、災害が発生するたびに直ちに提出するのではなく、一定期間ごとにまとめて報告します。
具体的な提出期限は次のとおりです。
| 災害が発生した期間 | 提出期限 |
|---|---|
| 1月~3月 | 4月末日 |
| 4月~6月 | 7月末日 |
| 7月~9月 | 10月末日 |
| 10月~12月 | 翌年1月末日 |
休業日数が4日に満たない場合、各四半期について、その期間の最後の月の翌月末日までに報告することとされています。
そのため、会社としては休業1~3日の軽微な労災についても記録を残し、提出漏れが生じないよう管理しておく必要があります。
5.2025年1月から電子申請が義務化
労働者死傷病報告については、2025年1月1日から原則として電子申請が義務化されています。
対象となるのは、
・死亡・休業4日以上の労働者死傷病報告
・休業4日未満の労働者死傷病報告
の双方です。
電子申請は、厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」などを利用して行うことができます。
【労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス】
https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/
以前から紙で提出していた会社では、古い様式をそのまま使用しないよう注意が必要です。
6.労災保険の請求と労働者死傷病報告は別の手続き
実務上、特に注意したいのが、
「労災保険の手続きをしたから、労働者死傷病報告は必要ない」
という誤解です。
両者は別の制度です。
労災保険は、被災した労働者に対して療養補償給付や休業補償給付などを行う制度です。
一方、労働者死傷病報告は、事業者が労働災害等の発生状況を労働基準監督署へ報告するための制度です。
したがって、企業側では、労災保険給付の手続きと死傷病報告の手続きを別であると理解しておくことが重要です。
7 終わりに
凪社会保険労務士事務所では、高松市・香川県を中心に、全国の企業様を対象として、労務相談、就業規則の作成・見直し、労務監査などのサポートを行っています。
高松市の社会保険労務士として、実務に即した分かりやすいサポートを心がけています。オンライン相談にも対応しているため、香川県外・全国の企業様からのご相談も可能です。
また、無料の簡易労務診断も実施しておりますので、労務管理の状況を把握しておきたい企業様は、お気軽にご連絡ください。
【簡易労務診断】https://nagi-sr.com/labor-diagnosis/

